スプーンに映る自分がブス

私って、常に精神ズタボロの割には容姿に悩んだことがないんですよ。いや嘘ですけど。

 

まあレベルに分けると中くらいの、とても芸能界には入れないくらいの、アイドルだったら握手会始まって30分経ったらもう忘れてるくらいの、ごく普通の特徴のない顔をしているんですが。

こうやって客観的に見て、特によくもない評価を自覚しているんですが、そのことに対して特に悲観的には思ってはおりません。

 

悩んでないっていうのは自分の容姿がいいとかそういうことを言ってるんでなくて、

 

まあ…もうどうしようも無いよね!

 

みたいな考えでいるので、あまり自分の容姿について深く考えたことがない。ていうか考えると死ぬと思うからしてない。だって、キリがないし。

 

そんでもって突然、今日自分ビジュいいなって思う日があるじゃないですか。

そういう時に自分の顔って上くらいに位置するかもみたいな勘違いをよく起こしてしまう。よく考えたら、いやよく考えなくても違う。

 

それくらい容姿に関しては謎ポジティブです。

 

そんな私でも自分の顔を見た時に、やべえブスだ と思うタイミングがある訳で。

 

今回はそんな話をしたいと思います。

 

 

 

意外なことに(?)僕、大学では運動部でマネージャーのようなことをしていたんですが、いよいよ引退にもなってくると、ここぞとばかりに思い出を残そうとする輩がいるわけです。

それについてああだこうだ言うつもりもないんですけど、

実は僕、めちゃくちゃ写真が嫌いなんです。

 

というのも僕という存在を常に忘れて生きて欲しいと思っているからなんですね。過去の自分なんて頭に残して欲しくないんですよ。恥の塊だから。

 

その割にはブログとか書いちゃって跡残しすぎとかいう話は置いといて、

試合の少し前に、最近カメラにハマったとかいう知り合いの男性と話すことがありました。

その時彼はこう言いました。

 

「最近ポートレートモデルを探してて…」

 

って。もう嫌な予感。

 

「基決さん、良ければやりませんk」

やりません。

 

僕ね、インスタとかラインのアイコンが自分の写真の人未だに苦手なんです。みんな自己肯定感高いなーとか思ってるんです。そんな人間が一丁前に自分の写真撮ってもらいたいと思うと考えていますか?思いませんよ。

とは言わずに、

ただ、やりません とだけお伝えしました。

 

それだけで終わったと思っていた。

 

 

とにかく、写真撮ろうとか言われたらのらりくらりとかわします。ごめんトイレーとか言って話を逸らして写真のことを忘れさせる魂胆です。

 

それでもね、面と向かって言ってくる分にはいいんですよ。すかさず盛れるアプリを、完全自分用にカスタムされたカメラアプリを差し出せばいいんです。

 

撮ったあと、盛りますよーとか言いながら盛りに盛って、満を持して共有すればいいんです。

 

ノーマルカメラなんてみんなブスなので論外です。

 

問題は観衆

スポーツの試合っていったら、コートを取り囲んだ上に観客席があります。

そんな中でお前の引退試合ばっちし収めてやるぜみたいなカメコが当然いるんですよ。

 

ベンチに入ってる身からしたら観客席なんてのは無敵の城。どこから打たれるかなんて分かりゃしない。

こっちは選手がゴール決めるかハラハラしてんのに、上からの攻撃も気にしないといけないんです。もう勘弁してくれよって探す訳です。

 

そうするとね、いるんですよ。

これぞ大砲と呼ばれんばかりの一眼レフを抱えた男が。

 

あ、ポートレート撮らせて男だ。

 

なんていうか20cmくらい厚みありそうなカメラをこっち向けて抱えてるんですよ。打たれるのかと思った。

まってあんた、スマホのノーマルカメラでありのままを撮ってブスなのに、一眼レフなんてもので撮ったらいよいよ私の精神が崩壊してしまうけどーって思って。

 

シュート入ったー!なんて喜ぶのもつかの間、こっちのシャッターチャンスは捉えさせないぞとばかりにスン…と表情を整えます。

 

そうした攻防を経て、長かった一眼男と僕の日常が終わります。

 

夜になって、クラブのグループLINEにひとつのアルバムが追加されます。

 

 

『23年引退試合

 

 

僕の写真全然なかったよね。

選手の写真多いわーって。当たり前。

 

結構自意識過剰かなって思いながら300枚くらいある写真をスクロールしたら僕の写真がばーっと現れたんです。

 

 

え、ブス。

 

 

自分ってこんなに破壊的なブスだったかな、って思うくらいにはブスだった。

 

なんというか、二重アゴブス。

感情を出すまいとしてたのがアダとなってずっとむくれたブスになってた。

 

そこそこショック。

ていうか一眼レフっていったら、けーぽのホムマが撮るようなキラキラなお写真を想像したりもしてたんです。

あれってすごい時間かけて修正してあったんだって、身をもって実感した。

 

僕の写真なんかもう毛穴とか毛 みたいなのがすごいんですよ。

 

でね、僕は思ったんです。

 

人間を映すなら、その覚悟をもて。

 

撮ってもらいながらなんてこと言うんだと思いますが、被写体に嫌だと思われたら終わりじゃないですか。

物とるならいいんですよ。満を持してポートレート撮ったのにこれ。その一眼持って一旦韓国行ってこい、ホムマに頼み込んで編集の修行をして下さい。

 

 

僕は僕のことをブスって思いたくないんです。ふとアイス食ったあとのスプーンにブスな自分が反対向きに写ってたとしても。これは自分じゃないって思うくらいの自信が欲しいの。

これからも上くらいだって勘違いさせて欲しいんです。それが僕の願いです。